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営業の仕事では、お客様との信頼関係が何よりも大切です。
そして、会社が人を採用するときも同じです。
私は八王子支店長として、新卒・中途・パート社員の採用に携わり、求人募集から書類選考、面接、採用後の教育まで担当してきました。
その経験から感じたのは、面接で上手に話せる人が、必ずしも入社後に活躍するとは限らないということです。
私が採用面接で見ていたのは、話し方のうまさよりも、「この人は周囲から信頼される人だろうか」という点でした。

面接が上手な人と、仕事ができる人は同じではない
面接では、多くの応募者が緊張します。
質問にすぐ答えられなかったり、途中で言葉に詰まったりすることもあります。しかし、それだけで仕事ができないとは判断できません。
反対に、受け答えが滑らかで、自分を上手にアピールできる人が、入社後も責任を持って仕事に取り組むとは限りません。
面接は、あくまで限られた時間の中で行われます。
その短い時間だけで人のすべてを判断することはできません。だからこそ私は、表面的な話し方だけで合否を決めないようにしていました。
私が重視していた三つのポイント
私が面接で特に見ていたのは、次の三つです。
1.質問をきちんと聞いているか
仕事では、自分の言いたいことを話す力だけでなく、相手の話を正確に聞く力が必要です。
質問の途中で話し始めたり、聞かれたこととは違う答えを返したりする人よりも、最後まで質問を聞き、少し考えてから答える人のほうが、入社後もお客様や同僚の話を丁寧に聞ける可能性があります。
これは営業職に限りません。
事務、接客、管理、どの仕事でも「聞く力」は信頼関係の土台になります。
2.できないことを正直に伝えられるか
面接では、自分を良く見せたいと思うのが普通です。
しかし、経験していない仕事を「できます」と答えてしまうと、入社後に本人も会社も困ることになります。
私は、何でもできると言う人よりも、
「その業務は経験がありません。ただし、必要であれば勉強します」
と正直に答えられる人を信頼しました。
分からないことを認めるのは、弱さではありません。自分の現在地を理解し、これから成長しようとする姿勢です。
3.これまでの仕事にどう向き合ってきたか
華やかな実績や立派な肩書だけを見ていたわけではありません。
大切なのは、与えられた仕事にどのような気持ちで取り組んできたかです。
たとえば、目立たない仕事でも丁寧に続けた経験、失敗したあとに改善した経験、周囲を支えた経験などには、その人の仕事に対する姿勢が表れます。
会社が本当に必要としているのは、面接の短い時間だけ自分を良く見せる人ではありません。
入社後、毎日の仕事を誠実に積み重ねられる人です。

採用して終わりではなく、育てることまでが管理者の仕事
私は支店長として約20人の部下を管理していました。
採用した人が最初から何でもできるとは考えていませんでした。新しい職場に入れば、誰でも分からないことがあります。
大切なのは、本人に仕事を覚えようとする姿勢があること。そして、会社側にも、その人を育てようとする姿勢があることです。
採用後に仕事を教え、困っていることを聞き、必要な助言をする。失敗したときには、責任を追及するだけでなく、同じ失敗を繰り返さない方法を一緒に考える。
そこまで含めて、管理者の仕事だと考えていました。
採用した人が成長し、やがて周囲から信頼される存在になっていく。その姿を見ることは、管理者として大きな喜びでした。
年齢や経歴だけで人を決めつけない
採用では、年齢、学歴、転職回数、職歴の空白期間などが判断材料になることがあります。
もちろん、仕事に必要な経験や条件を確認することは必要です。しかし、数字や履歴だけで、その人の可能性まですべて判断できるわけではありません。
長い社会経験の中で身につけた判断力や対人対応力は、履歴書の短い文章だけでは伝わりません。
また、病気や家庭の事情などで、働けなかった期間がある人もいます。その空白期間だけを見て、それ以前に積み上げた経験や、もう一度働こうとする意欲まで否定するべきではないと思います。
採用とは、欠点のない人を探すことではありません。
その人が持っている経験や強みを、これからの仕事でどう生かせるかを考えることです。
まとめ――面接は人を落とすための場ではない
私が採用面接で見ていたのは、話し方のうまさや、立派な自己PRだけではありませんでした。
- 相手の話を最後まで聞けるか
- できないことを正直に話せるか
- 仕事に誠実に向き合ってきたか
- 新しいことを学ぶ意欲があるか
こうした部分に、その人の本当の姿が表れると考えていたからです。
面接は、応募者の欠点を探して落とすための場ではありません。
会社と応募者がお互いを知り、「この人と一緒に働けるか」「この会社で自分の力を生かせるか」を確かめるための場です。
人は、短い面接だけでは分かりません。
だからこそ採用する側には、肩書や年齢だけにとらわれず、目の前の人を丁寧に見る姿勢が必要なのです。
次回予告
次回は、「部下が失敗したとき、管理者はどう対応するべきか」について、私自身の管理職経験をもとに考えます。



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