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人生営業研究所 第9回 採用面接で私が見ていたのは「うまく話せる人」ではなかった

人生営業研究所

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営業の仕事では、お客様との信頼関係が何よりも大切です。

そして、会社が人を採用するときも同じです。

私は八王子支店長として、新卒・中途・パート社員の採用に携わり、求人募集から書類選考、面接、採用後の教育まで担当してきました。

その経験から感じたのは、面接で上手に話せる人が、必ずしも入社後に活躍するとは限らないということです。

私が採用面接で見ていたのは、話し方のうまさよりも、「この人は周囲から信頼される人だろうか」という点でした。

面接が上手な人と、仕事ができる人は同じではない

面接では、多くの応募者が緊張します。

質問にすぐ答えられなかったり、途中で言葉に詰まったりすることもあります。しかし、それだけで仕事ができないとは判断できません。

反対に、受け答えが滑らかで、自分を上手にアピールできる人が、入社後も責任を持って仕事に取り組むとは限りません。

面接は、あくまで限られた時間の中で行われます。

その短い時間だけで人のすべてを判断することはできません。だからこそ私は、表面的な話し方だけで合否を決めないようにしていました。

私が重視していた三つのポイント

私が面接で特に見ていたのは、次の三つです。

1.質問をきちんと聞いているか

仕事では、自分の言いたいことを話す力だけでなく、相手の話を正確に聞く力が必要です。

質問の途中で話し始めたり、聞かれたこととは違う答えを返したりする人よりも、最後まで質問を聞き、少し考えてから答える人のほうが、入社後もお客様や同僚の話を丁寧に聞ける可能性があります。

これは営業職に限りません。

事務、接客、管理、どの仕事でも「聞く力」は信頼関係の土台になります。

2.できないことを正直に伝えられるか

面接では、自分を良く見せたいと思うのが普通です。

しかし、経験していない仕事を「できます」と答えてしまうと、入社後に本人も会社も困ることになります。

私は、何でもできると言う人よりも、

「その業務は経験がありません。ただし、必要であれば勉強します」

と正直に答えられる人を信頼しました。

分からないことを認めるのは、弱さではありません。自分の現在地を理解し、これから成長しようとする姿勢です。

3.これまでの仕事にどう向き合ってきたか

華やかな実績や立派な肩書だけを見ていたわけではありません。

大切なのは、与えられた仕事にどのような気持ちで取り組んできたかです。

たとえば、目立たない仕事でも丁寧に続けた経験、失敗したあとに改善した経験、周囲を支えた経験などには、その人の仕事に対する姿勢が表れます。

会社が本当に必要としているのは、面接の短い時間だけ自分を良く見せる人ではありません。

入社後、毎日の仕事を誠実に積み重ねられる人です。

採用して終わりではなく、育てることまでが管理者の仕事

私は支店長として約20人の部下を管理していました。

採用した人が最初から何でもできるとは考えていませんでした。新しい職場に入れば、誰でも分からないことがあります。

大切なのは、本人に仕事を覚えようとする姿勢があること。そして、会社側にも、その人を育てようとする姿勢があることです。

採用後に仕事を教え、困っていることを聞き、必要な助言をする。失敗したときには、責任を追及するだけでなく、同じ失敗を繰り返さない方法を一緒に考える。

そこまで含めて、管理者の仕事だと考えていました。

採用した人が成長し、やがて周囲から信頼される存在になっていく。その姿を見ることは、管理者として大きな喜びでした。

年齢や経歴だけで人を決めつけない

採用では、年齢、学歴、転職回数、職歴の空白期間などが判断材料になることがあります。

もちろん、仕事に必要な経験や条件を確認することは必要です。しかし、数字や履歴だけで、その人の可能性まですべて判断できるわけではありません。

長い社会経験の中で身につけた判断力や対人対応力は、履歴書の短い文章だけでは伝わりません。

また、病気や家庭の事情などで、働けなかった期間がある人もいます。その空白期間だけを見て、それ以前に積み上げた経験や、もう一度働こうとする意欲まで否定するべきではないと思います。

採用とは、欠点のない人を探すことではありません。

その人が持っている経験や強みを、これからの仕事でどう生かせるかを考えることです。

まとめ――面接は人を落とすための場ではない

私が採用面接で見ていたのは、話し方のうまさや、立派な自己PRだけではありませんでした。

  • 相手の話を最後まで聞けるか
  • できないことを正直に話せるか
  • 仕事に誠実に向き合ってきたか
  • 新しいことを学ぶ意欲があるか

こうした部分に、その人の本当の姿が表れると考えていたからです。

面接は、応募者の欠点を探して落とすための場ではありません。

会社と応募者がお互いを知り、「この人と一緒に働けるか」「この会社で自分の力を生かせるか」を確かめるための場です。

人は、短い面接だけでは分かりません。

だからこそ採用する側には、肩書や年齢だけにとらわれず、目の前の人を丁寧に見る姿勢が必要なのです。

次回予告

次回は、「部下が失敗したとき、管理者はどう対応するべきか」について、私自身の管理職経験をもとに考えます。

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