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人生営業研究所 第7回 信頼される営業は「小さな約束」を守る

人生営業研究所
お客様との小さな約束を大切にするベテラン営業担当者

SHIN LIFE DESIGN

結論

営業で長く成果を出し続けるために、特別な話術や難しいテクニックは必要ありません。

最も大切なのは、お客様との小さな約束を確実に守ることです。

「明日までに連絡します」

「確認して折り返します」

「資料を送ります」

営業担当者にとっては、何気なく口にした言葉かもしれません。

しかし、お客様はその言葉を覚えています。

一つひとつは小さな約束でも、それを守り続けることで信頼が生まれます。反対に、たった一度の約束を軽く扱ったことで、それまで積み重ねてきた信頼を失うこともあります。

営業とは、商品を売る前に自分自身を信用していただく仕事です。

そして、その信用は、大きな言葉ではなく、小さな約束の積み重ねによってつくられるのです。

信頼は一度の商談では生まれない

初めて会った営業担当者から、商品の説明を一生懸命に受けたとしても、お客様がその場ですべてを信用するとは限りません。

どれほど立派な会社でも、どれほど優れた商品でも、実際に対応する営業担当者が信頼できなければ、お客様は安心して契約できません。

私は約30年間、営業の仕事に携わってきました。

営業未経験で入社し、3年目にトップ営業を経験しました。その後、八王子支店長、取締役部長、常務取締役、専務取締役と役職が変わっても、お客様との関係を大切にしてきました。

その経験から強く感じるのは、信頼は一度の商談で獲得するものではないということです。

電話を約束した時間にかける。

質問されたことを調べて回答する。

分からないことを、分かったふりをしない。

できないことを、できると言わない。

こうした当たり前の行動を積み重ねることで、お客様は少しずつ「この人なら任せられる」と感じるようになります。

営業担当者には小さくても、お客様には大きな約束

営業の仕事をしていると、一日に何人ものお客様と話をします。

忙しい日には、電話や訪問、見積書の作成、社内会議などが重なります。その結果、「あとで連絡しよう」と思っていたことを忘れてしまうこともあります。

しかし、お客様にとって担当する営業は一人です。

営業担当者には何十件の仕事のうちの一件でも、お客様にとっては自分の人生や生活に関わる大切な相談かもしれません。

私が扱っていた墓石も、お客様にとって何度も購入する商品ではありません。

大切なご家族を亡くした直後に相談へ来られる方もいらっしゃいました。悲しみや不安を抱えながら、分からないことばかりの中で決断しなければなりません。

そのようなお客様に対して、営業側の「忙しかった」「忘れていた」という事情は通用しません。

「確認して今日中に電話します」と伝えたなら、たとえ回答がまだ出ていなくても、今日中に一度連絡する必要があります。

「まだ確認中ですが、明日には回答できる見込みです」

それだけでも、お客様は約束を覚えていてくれたことに安心します。

連絡をしないまま翌日を迎えることと、途中経過をきちんと報告することでは、お客様が受ける印象はまったく違います。

できない約束をしない勇気

契約が欲しいあまり、お客様の要望に何でも「できます」と答えてしまう営業担当者がいます。

その場では、お客様に喜んでもらえるかもしれません。

しかし、あとになって実現できないことが分かれば、お客様は商品だけでなく、営業担当者そのものを信用できなくなります。

約束を守るためには、安易に約束をしないことも大切です。

できるかどうか分からないときは、

「私の判断だけではお約束できないので、会社に確認してから回答します」

と正直に伝えるべきです。

これは消極的な対応ではありません。

お客様に対して責任を持とうとする、誠実な対応です。

分からないことを分からないと言う。

できないことをできないと言う。

そして、確認すると約束したことは必ず確認する。

その繰り返しが信頼につながります。

トップ営業ほど記録を大切にする

人間の記憶には限界があります。

どれほど注意していても、すべての約束を頭の中だけで管理することはできません。

そのため、信頼される営業担当者ほど記録を大切にします。

私は、お客様との会話の中で出た要望や約束を、その場でメモすることを心掛けていました。

約束した期限。

次に連絡する日時。

確認しなければならない内容。

お客様が心配していたこと。

ご家族との相談状況。

こうした内容を記録しておけば、次の連絡で何を話すべきかが明確になります。

また、以前お客様が話された内容を覚えていると、

「自分の話をきちんと聞いてくれていた」

と感じていただけます。

記録は、単なる営業管理のための作業ではありません。お客様を大切にするための行動なのです。

問題が起きたときこそ信頼をつくる機会

どれほど注意していても、仕事では予定どおりに進まないことがあります。

納期が遅れる。

社内の手配に間違いが起きる。

お客様の希望に応えられなくなる。

問題が起きたときに、営業担当者の本当の姿勢が表れます。

悪い報告を後回しにしたり、会社や他の社員の責任にしたりすれば、お客様の不信感はさらに大きくなります。

一方で、問題が分かった段階ですぐに連絡し、状況を正直に説明し、解決方法を考える営業担当者は、かえって信頼を深めることがあります。

私は長い営業経験の中で、問題がまったく起きなかったから信頼されたのではありません。

何か起きたときに逃げず、お客様と向き合ってきたからこそ、その後も長くお付き合いいただけたのだと思います。

お客様が見ているのは、失敗しない人かどうかだけではありません。

失敗や問題が起きたときに、どのような行動を取る人なのかを見ているのです。

信頼は次の仕事につながる

役員になってからも、私は営業の現場を離れませんでした。

以前からのお客様や、ご紹介いただいたお客様を担当し続けました。

それは、自分だけで売上を上げるためではありません。私が担当できるお客様を引き受けることで、部下の負担を減らし、支店全体の成果につなげたいと考えていたからです。

長くお付き合いいただいたお客様から、新しいお客様をご紹介いただくこともありました。

紹介は、単なる新規顧客の獲得ではありません。

「この人なら、自分の大切な知人を任せられる」

という、非常に大きな信頼の証です。

紹介をお願いする営業方法もありますが、本当の紹介は、お願いしたから生まれるものではありません。

目の前のお客様との約束を守り、誠実な対応を積み重ねた結果として生まれるものだと思います。

年齢や時代が変わっても信頼の基本は変わらない

現在は、電話や訪問だけでなく、メール、オンライン会議、SNSなど、営業の方法が大きく変わりました。

営業管理のための便利なシステムも増えています。

しかし、どれほど道具が進歩しても、信頼の基本は変わりません。

返信すると言ったら返信する。

期限を守る。

遅れるときは事前に連絡する。

相手の話を記録する。

都合の悪いことも正直に伝える。

これらは、昔の営業でも現在の営業でも同じです。

ITは約束を管理するために役立ちますが、約束を守るのは最後には人間です。

だからこそ、営業に必要なのは、最新の技術だけではありません。

相手を大切に思い、自分の言葉に責任を持つ姿勢なのです。

まとめ

信頼される営業になるために、特別な話術は必要ありません。

大切なのは、自分が口にした小さな約束を守り続けることです。

約束した日時に連絡する。

確認した内容を回答する。

できないことは正直に伝える。

問題が起きたときには逃げずに報告する。

そして、お客様との会話や約束を記録する。

こうした一つひとつの行動は、すぐに大きな売上を生むものではないかもしれません。

しかし、長い時間をかけて確かな信頼をつくります。

営業は、商品を一度売って終わる仕事ではありません。

お客様に「この人に相談してよかった」「次もこの人にお願いしたい」と思っていただく仕事です。

今日交わした小さな約束を守ること。

それが、長く信頼される営業への第一歩です。

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