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若い社員が少しずつ仕事を覚えてくると、管理者は次の段階として、一人で仕事を任せようと考えます。
しかし、仕事の内容だけを説明して、
「それでは、あとは任せた」
と伝えるだけでは、若い社員は不安を抱えたまま仕事を進めることになります。
若い社員に仕事を任せるとき、管理者が伝えるべきことは、作業の手順だけではありません。
その仕事の目的、求める結果、期限、相談するタイミングまで、具体的に伝えることが必要です。
「任せる」と「丸投げ」は違う
管理者の中には、若い社員の自主性を育てるために、細かい説明をせずに仕事を任せる人がいます。
もちろん、自分で考える経験は大切です。
しかし、必要な情報を与えずに仕事を任せることは、自主性を育てることではありません。
それは「任せる」のではなく、「丸投げ」になってしまいます。
若い社員が仕事を進められずにいると、
「分からないなら、なぜ聞かなかったのか」
と叱る管理者もいます。
しかし、経験の浅い社員は、自分が何を分かっていないのかさえ、分からない場合があります。
相談すべきタイミングを判断できないこともあるのです。
だからこそ管理者は、仕事を任せる前に、必要な情報と相談の基準を伝えなければなりません。

最初に仕事の目的を伝える
仕事を任せるとき、最初に伝えるべきことは「何をするか」ではなく、「何のためにするか」です。
例えば、顧客の一覧表を作成してもらう場合でも、
「この資料を見て、一覧表を作ってください」
と伝えるだけでは、若い社員は言われた情報を入力することだけに集中します。
一方で、
「来月の営業活動で、連絡が必要なお客様を確認するために、この一覧表を作ります」
と目的を伝えれば、社員はどの情報が重要なのかを考えられるようになります。
目的が分かれば、作業の途中で迷ったときにも、自分で判断しやすくなります。
人は、仕事の意味が分からなければ、指示されたことしかできません。
仕事の目的が分かって初めて、自分で考えて動けるようになります。
完成した状態を具体的に示す
管理者が考えている「完成」と、若い社員が考える「完成」が同じとは限りません。
「分かりやすくまとめてください」
「きれいに整理してください」
「なるべく早くお願いします」
このような曖昧な指示では、人によって受け取り方が変わります。
管理者は、完成した状態をできるだけ具体的に伝える必要があります。
例えば、
- どの項目を入れるのか
- どの形式で作成するのか
- 誰が見る資料なのか
- いつまでに完成させるのか
- 完成後は誰に報告するのか
といったことを明確にします。
可能であれば、過去に作成した資料や見本を見せることも有効です。
完成のイメージを共有できれば、やり直しを減らすことができます。
それは若い社員のためだけではなく、管理者自身の時間を守ることにもつながります。

期限だけでなく、途中の確認時期を決める
仕事を任せるときに、最終期限だけを伝える管理者は少なくありません。
しかし、最終日に確認して、大きな間違いが見つかった場合、修正する時間がなくなってしまいます。
経験の浅い社員に初めての仕事を任せる場合は、途中で確認する時期を決めておくことが大切です。
「金曜日までに完成させてください。ただし、水曜日の午後に一度、途中経過を見せてください」
このように伝えておけば、方向が間違っていても早い段階で修正できます。
途中確認は、社員を監視するためのものではありません。
社員が安心して仕事を進めるための支援です。
慣れてきたら、少しずつ確認の回数を減らしていけばよいのです。
困ったときの相談方法を伝える
若い社員は、質問すると「こんなことも分からないのか」と思われるのではないかと不安を感じることがあります。
そのため、分からないことがあっても、一人で抱え込んでしまう場合があります。
管理者は仕事を任せるときに、
「分からないことがあれば、遠慮なく聞いてください」
と伝えるだけではなく、相談する基準も具体的に示す必要があります。
例えば、
「30分考えても分からなければ相談してください」
「お客様への回答に迷った場合は、自分で判断せずに確認してください」
「予定より遅れそうだと分かった時点で報告してください」
と伝えます。
相談する基準が明確であれば、若い社員は安心して報告や相談ができるようになります。

失敗しても支えることを伝える
初めての仕事を任された社員は、期待を感じる一方で、失敗することを恐れています。
失敗を強く恐れると、社員は自分で判断できなくなり、何をするにも管理者の指示を待つようになります。
管理者は、
「最初から完璧にできなくても大丈夫です」
「途中で間違いがあっても、一緒に修正します」
と伝えることが大切です。
もちろん、何度失敗してもよいという意味ではありません。
大切なのは、失敗を責めるのではなく、原因を一緒に確認し、次に同じ失敗を繰り返さない方法を考えることです。
安心して挑戦できる環境があってこそ、若い社員は成長できます。
任せたあとは、口を出しすぎない
丁寧に説明して仕事を任せたあと、管理者が細かく口を出しすぎることにも注意が必要です。
社員が作業を始めるたびに、
「それより、こちらを先にしたほうがよい」
「私なら、この方法で進める」
と指示を変えてしまえば、社員は自分で考えなくなります。
仕事を任せると決めたのであれば、決められた確認時期までは、ある程度見守ることも必要です。
管理者と全く同じ方法でなくても、目的に合った結果が出ているのであれば、その方法を認めることも大切です。
任せるとは、管理者のやり方をそのまま再現させることではありません。
社員が自分なりに考え、結果を出せるように支えることです。

仕事が終わったら、結果だけでなく過程も評価する
仕事が終わったとき、間違いだけを指摘して終わってはいけません。
まず、できたことや工夫したことを具体的に伝えます。
「期限より早く仕上げられたことはよかった」
「途中で確認してくれたので、大きな修正をせずに済んだ」
「お客様が見やすいように並び順を工夫した点がよかった」
このように具体的に伝えれば、社員は自分の何が評価されたのかを理解できます。
そのうえで、改善すべき点と、次にどうすればよいのかを伝えます。
仕事を任せたあとの振り返りまで行うことで、その経験が次の成長につながります。
まとめ
若い社員に仕事を任せるとき、管理者が伝えるべきことは、作業の手順だけではありません。
- 仕事の目的
- 求める完成の状態
- 最終期限と途中確認の時期
- 相談するタイミング
- 失敗しても支えるという姿勢
これらを明確に伝える必要があります。
そして、任せたあとは必要以上に口を出さず、社員が自分で考える時間をつくります。
若い社員は、仕事を任される経験を通して成長します。
しかし、その成長は、ただ仕事を与えるだけでは生まれません。
管理者が適切に説明し、見守り、振り返りを行うことで、初めて「任せること」が人材育成につながるのです。
仕事を任せることは、管理者にとって勇気が必要です。
同時に、若い社員にとっても大きな挑戦です。
管理者が「最後は自分が支える」という姿勢を示すことで、若い社員は安心して一歩を踏み出せるようになります。




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