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営業部門には、必ずといってよいほど売上目標があります。
しかし、目標数字を社員に伝えるだけでは、売上は伸びません。
「今月の目標は1,200万円です。必ず達成してください」
そう言われても、社員は何から始めればよいのか、今日どこまで進めればよいのか分からないからです。
私が八王子支店長を務めていた頃は、毎朝15分のミーティングを行い、売上進捗状況をグラフで確認していました。
数字は、部下を責めるために使うものではありません。
現在地を共有し、その日に取るべき行動を一緒に考えるために使うものです。
毎朝15分のミーティングを続けた理由
営業会議というと、長時間にわたって上司が話し続けるものを想像するかもしれません。
しかし、私は長い会議が必ずしも成果につながるとは考えていませんでした。
営業社員にとって大切なのは、会議室に長く座ることではなく、お客様と向き合う時間を確保することです。
そこで、毎朝のミーティングは15分と決めていました。
短い時間の中で確認したのは、主に次の三点です。
- 月間目標に対して、現在どこまで進んでいるか
- 今日、どのお客様にどのような働きかけをするか
- 困っている案件や、支店として支援が必要なことはないか
昨日までの結果を責めるのではなく、今日何をすれば前に進めるのかを確認する時間でした。

売上進捗をグラフで見えるようにした
例えば、営業社員A・B・C・D・Eと支店長である私の進捗状況を、次のような棒グラフで共有します。
月間売上目標は、一人1,200万円です。

- A:20%・240万円
- B:30%・360万円
- C:35%・420万円
- D:40%・480万円
- E:50%・600万円
- 支店長・高松:0%・0円
グラフにすると、誰が進んでいて、誰が遅れているのかが一目で分かります。
しかし、大切なのは順位をつけることではありません。
Aさんが20%だから能力が低く、Eさんが50%だから優秀だと、単純に判断することはできないからです。
担当するお客様も、案件の進み方も、それぞれ違います。
契約直前の大きな案件を持っている社員もいれば、契約後の対応に時間をかけている社員もいます。
数字の背景まで確認しなければ、本当の状況は分かりません。
「なぜ売れていないのか」ではなく「何が止まっているのか」
進捗が遅れている社員に対して、
「なぜ売れていないんだ」
と問い詰めても、多くの場合、よい答えは返ってきません。
社員は責められていると感じ、失敗や困り事を隠すようになります。
私が確認したかったのは、売れない理由ではなく、仕事がどこで止まっているのかでした。
例えば、次のように具体的に聞きます。
「見積書を提出した後、お客様の反応はどうだった?」
「ご家族の中で、まだ納得されていない方はいない?」
「次に連絡する日は決まっている?」
「私が同行したほうが話を進めやすい案件はある?」
こうして一つずつ確認すると、社員本人も問題点を整理できます。
上司が答えを押しつけるのではなく、本人が次の行動に気づくことが重要です。

目標を一日単位の行動に変える
月間1,200万円という数字だけを見ると、大きな目標に感じます。
しかし、その数字を一日単位の行動に分けると、やるべきことが見えてきます。
今日は既存のお客様に何件連絡するのか。
見積書を何件提出するのか。
契約を迷っているお客様に、どのような説明をするのか。
止まっている案件を、誰が支援するのか。
売上目標は、最終的な結果です。
結果だけを求めても、結果は変わりません。
結果につながる行動を具体的に決め、その行動を毎日積み重ねることで、初めて数字が動きます。
支店長である私の数字もグラフに載せた
進捗グラフには、部下だけではなく、支店長である私の欄も設けました。
支店長自身の売上が0円の日もあります。
管理職は、自分だけ安全な場所に立って部下の数字を評価する存在ではありません。
支店全体の目標を背負い、必要なときにはお客様への同行、案件の相談、部門間の調整などを行う責任があります。
自分の数字も同じ場所に載せることで、
「数字を求められているのは、あなたたちだけではない」
という姿勢を示すことができます。
上司が部下に数字を求めるなら、上司自身も数字から逃げてはいけません。

進捗がよい社員からも学ぶ
売上が順調な社員には、
「どうしてうまくいったのか」
を説明してもらいました。
電話をかける時間帯を変えたのか。
お客様への質問の仕方を工夫したのか。
提案資料を改善したのか。
契約につながった行動を共有すれば、その成功は本人だけのものではなく、支店全体の財産になります。
営業組織では、成績のよい人のやり方を秘密にさせてはいけません。
成果につながった工夫を共有し、他の社員が自分なりに取り入れられる環境をつくることも、管理職の仕事です。
数字と対話の両方が必要である
数字だけを見ていると、社員の気持ちや案件の事情を見落とします。
一方で、気持ちだけを重視して数字を確認しなければ、問題への対応が遅れます。
管理職に必要なのは、数字と対話の両方を見ることです。
グラフで現在地を確認する。
本人の話を聞く。
問題があれば支援する。
そして、その日に取り組む具体的な目標を決める。
この繰り返しが、個人の成長と組織全体の売上につながります。

まとめ
私が毎朝15分のミーティングで売上進捗グラフを使っていたのは、部下を競わせたり、成績の悪い社員を叱ったりするためではありません。
現在地を全員で共有し、今日何をすべきかを明確にするためでした。
売上目標は、社員を追い詰めるための数字ではありません。
問題を早く見つけ、必要な支援を行い、全員で目標に向かうための共通言語です。
管理職の役割は、数字を読み上げることではありません。
数字の後ろにある原因を見つけ、部下が次の一歩を踏み出せるようにすることだと、私は考えています。



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