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私は約30年間勤めた会社を、2015年に退職した。
営業未経験から入社し、トップセールス、支店長、取締役部長、常務取締役、専務取締役まで経験した会社だった。
長い年月を過ごした職場を離れることは、単に仕事を辞めるということではなかった。
それまでの生活や、自分自身の存在意義について考え直す大きな転機でもあった。
仕事が生活の中心だった
長年、私の生活の中心には仕事があった。
営業目標を達成すること。
部下を育てること。
組織をまとめ、会社の業績を向上させること。
役職が上がるにつれて責任も増え、仕事について考える時間も長くなっていった。
会社の中では、自分に求められる役割があった。
しかし、会社を離れると、その役割も肩書きもなくなる。
それまで当たり前だった日常が、大きく変わるのである。
肩書きと人間の価値
会社にいる間は、役職によって仕事上の権限や責任が与えられる。
支店長、取締役、常務、専務。
それぞれの立場には意味があり、果たすべき役割がある。
しかし、会社を退職すれば、その肩書きは過去のものになる。
そこで考えなければならないのは、肩書きがなくなった自分自身に何が残るのかということである。
長年培ってきた知識や経験。
人との関わりから学んだこと。
仕事に対する考え方。
それらは、会社を辞めたからといって消えるものではない。
退職後の現実
私の場合、退職に至る過程では精神的な負担も大きく、うつ病を経験した。
そして、会社を離れた後の人生も、決して平穏なものではなかった。
長年続けてきた仕事から離れ、新しい生活を考えなければならなくなった。
会社という組織に属していた頃には見えなかった現実に向き合うことになったのである。
仕事を失うことと、人間としての価値を失うことは違う。
頭では理解していても、長年仕事を中心に生きてきた人間にとって、その違いを受け入れることは簡単ではない。
会社は人生のすべてではない
現役時代には、会社の仕事が何よりも優先されることがあった。
しかし、会社を離れた後も人生は続いていく。
健康、家族、人間関係、生活環境。
仕事以外にも、人間が大切にしなければならないものは数多くある。
会社のために努力することは素晴らしい。
責任ある仕事に誇りを持つことも大切である。
しかし、そのために自分自身の健康や人生を犠牲にしてよいわけではない。

最後に
会社を去ったことで、私は多くのものを失ったと感じた時期もあった。
しかし、同時に、会社という組織から離れた一人の人間として、自分の人生を考える機会も得た。
役職は永遠に続くものではない。
仕事にも、いつか終わりが来る。
だからこそ、仕事をしている間から、会社を離れた後の自分自身について考えておく必要があるのだと思う。
会社での役職は人生の一部であって、人生そのものではない。
そのことを、私は会社を離れてから改めて考えるようになった。



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