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営業社員の売上が伸びていないとき、上司はつい「なぜ売れないんだ」と聞いてしまいます。
しかし、そう問い詰めても、売上が伸びない本当の原因はなかなか見えてきません。
私が八王子支店長を務めていた頃、成績が伸び悩んでいる社員に最初に確認していたのは、結果だけではありませんでした。
「今、どのお客様への対応が止まっているのか」
「次に何をすれば、商談が一歩前へ進むのか」
売れていない理由を責めるのではなく、営業活動のどこで動きが止まっているのかを、一緒に確認することから始めていました。
「なぜ売れないのか」では答えにくい
売上が目標に届いていない社員に、
「なぜ売れていないんだ」
と聞いても、本人は簡単には答えられません。
「努力が足りませんでした」
「もっと頑張ります」
このような言葉で終わってしまうことが多いからです。
しかし、「頑張る」という言葉だけでは、具体的な行動にはつながりません。
売上が伸びないときには、必ず営業活動のどこかに止まっている部分があります。
その場所を見つけることが、上司の仕事だと私は考えていました。

営業活動を一つずつ確認する
私は社員と話すとき、営業の流れを一つずつ確認していました。
新しいお客様への訪問はできているか。
以前相談を受けたお客様へ、再度連絡しているか。
見積書を提出した後、そのままになっていないか。
お客様の返事を待つだけになっていないか。
契約に至らなかったお客様へ、改めて提案できることはないか。
このように確認していくと、売上が伸びていない原因が少しずつ見えてきます。
訪問件数が少ない場合もあれば、見積書を出した後の連絡が止まっている場合もあります。
お客様の悩みを十分に聞けておらず、提案内容が合っていないこともあります。
問題の場所が分かれば、次に取るべき行動も具体的になります。
結果ではなく「止まっている場所」を見る
営業社員を育てるときに大切なのは、結果だけで判断しないことです。
売上が少ないからといって、その社員が何もしていないとは限りません。
一生懸命に訪問していても、商談の進め方が分からず、途中で止まっていることがあります。
見積書を提出したものの、お客様にどう連絡すればよいか悩んでいる場合もあります。
そのような社員に必要なのは、叱責ではありません。
「次はこのお客様に連絡してみよう」
「もう一度、お客様が困っていることを聞いてみよう」
「この見積書の内容を一緒に見直そう」
このように、次の行動を具体的に示すことです。
上司が一緒に整理すれば、社員は何をすればよいのかが分かり、再び動き始めることができます。

「今日やること」まで具体的にする
月間目標だけを見ていると、その数字は非常に大きく感じられます。
しかし、目標を一日単位の行動に分ければ、社員にも取り組みやすくなります。
今日、どのお客様に電話するのか。
どのお客様を訪問するのか。
どの見積書を作成するのか。
誰に再提案するのか。
毎朝の15分間のミーティングでは、売上の進捗を確認するだけでなく、それぞれの社員がその日に行うことまで明確にしていました。
営業活動は、小さな行動の積み重ねです。
今日の行動が、すぐに今日の売上になるとは限りません。
それでも、止まっていた商談を一歩前へ進めれば、将来の売上につながります。
上司が答えを押しつけない
上司がすべての答えを与えてしまうと、社員は指示を待つようになります。
そのため私は、まず本人の考えを聞くことを大切にしていました。
「このお客様に、次は何をしたらよいと思うか」
「お客様が迷っている理由は何だと思うか」
「もう一度提案するとしたら、何を変えるか」
社員自身に考えてもらい、そのうえで必要な助言をする。
これを繰り返すことで、社員は自分で営業活動を振り返り、次の行動を考えられるようになります。
上司の役割は、ただ指示を出すことではありません。
部下が自分で答えにたどり着けるように、適切な質問をすることも重要な仕事です。

売れない時期こそ、社員との信頼関係が表れる
売上が順調なときは、誰でも前向きに働けます。
本当に上司の姿勢が問われるのは、社員の売上が伸びていないときです。
そのときに数字だけを見て責めれば、社員は失敗を隠すようになります。
反対に、一緒に原因を探し、次の行動を考える上司であれば、社員は正直に相談できるようになります。
「このお客様への対応で悩んでいます」
「見積書を出した後、どう話せばよいか分かりません」
社員がこのように話せる職場であれば、問題を早い段階で発見できます。
営業組織を強くするのは、厳しい言葉ではありません。
困ったときに相談できる信頼関係です。
まとめ
売上が伸びていない社員に対して、私が最初に確認していたのは、売れない理由ではありませんでした。
営業活動のどこで動きが止まっているのか。
次に何をすれば、商談が一歩前へ進むのか。
そこを本人と一緒に整理していました。
数字は、社員を責めるために使うものではありません。
問題を見つけ、次の行動を考えるために使うものです。
売れていない社員に必要なのは、「もっと頑張れ」という言葉ではありません。
今日、誰に、何をするのか。
その一歩を具体的にすることが、社員の成長と売上につながるのです。



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